泥濘の中へ

ぼくのうちは教会なんだ。父さんは神父で母さんはシスター。学校で出会って結ばれたんだって。神様の思し召しだ！ってぼくがいったら母さんも父さんもちょっと困った顔して笑った。ぼく、なんか変なこと言ったかな？
父さん？うん、父さんは信仰深くて真面目で、村の人たち皆の相談役になってる神父さまだよ。母さんはそんな父さんが大好きなんだって優しく笑ってた。ぼく、いまでも母さんのその笑顔思い出せるんだ。マリアさまみたいに優しく優しく笑ってた。……今はもう、いないけど。
……うん、そうなの。ある日突然いなくなっちゃった。母さんがいなくなってから、大変だったんだ。父さんはずっと不機嫌で、お酒ばっかり飲むし、神様にお祈りのひとつもしないの。だからぼくがそれについて文句を言ったら、「うるせぇ！神なんざいねぇんだよ！」って、ジョッキを投げつけて怒られちゃった。ぼく、父さんにあんなに怒鳴られたの初めてだったから泣いちゃって……あ！ でもっ、誤解しないでね！ 父さんは今はすごい人なんだ。そのあと泣いてぼくに謝って抱きしめてくれたし、今はそんなこと絶対しないんだ！
それで……その翌日に父さんは君を連れてきたんだよ。だからぼくはあの日をよーく覚えてる。かみさまだって、父さんが君を紹介した時はびっくりしたし、ぼくとそう変わらない子供が神様？なんて思ってだけど……。えへへ、ごめん。でも、でも実際、神様はやっぱりいたんだ。君がきてくれてから、今では全てがすっかり立ち直って、村の人もまたこの教会に通ってくれるようになった。ぜんぶぜーんぶ君の……かみさまのおかげ！ありがとう！
だからこれからもずっとここにいてね。ぼく、君が大好きなんだ。父さんの前では言えないけど、君は母さんに雰囲気がよく似ているから……。……ねぇ、もし許されるなら、これから2人きりの時は母さんって呼んでもいい？……いいの？ やった。嬉しいなぁ。ふふふ。
あああごめん、ええと、服を脱げばいいんだよね？ 下着も全部？ うん、わかった。
――ところで、これから一体何をするの？

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キャラクター紹介
■聖少年
無垢。それゆえに脆く弱い。
■かみさま
どんな人間だろうとも状況に依っては神と成れ代われるものである。